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2021年12月21日

3Dプリンタで作った4WDの試作車を紹介する

3Dプリンタ アドベントカレンダー

はじめに

この記事は東京高専プロコンゼミ① Advent Calendar 2021の21日目の記事です.

今年の7月に3DプリンタのELEGOO NEPTUNE 2を購入しました.今回は,この3Dプリンタで作った5リンク式サスペンションの4WDの詳細を自己満足で紹介しようと思います.

新型を作りました(2023年12月)3Dプリンタでカメラ付き4WDを作った STLファイル配布

5リンク式サスペンションってなんぞや?

wikipediaを参考にさせていただくと,車軸と車台を5本のリンクで位置決めする方法です.前後左右に働く力のみを受け持ち、鉛直方向の荷重はばねで支えられ、車軸は上下方向の動きを許されています.

構造は以下に張る写真とサスペンションを見てもらうのがわかりやすいと思います.

全体像

写真

画像はクリックすると高解像度版が見れるよ

走行動画

以下の動画は動きがわかりやすくなることを期待して0.1倍速にして,車におもりを載せています.

各部紹介

車軸とハウジング

開けた状態

ハウジング上にマイクロサーボを配置し,いずれArduinoなどで操舵できるようにしています.ベアリングはミニチュアベアリング 両側鋼板シールド形を使用しています.自在継手もM2 x 6mm ねじと3Dプリンタによる自作です.ベベルギアは,Fusion360に GF Gear Generatorを導入して適当に生成したものです.

後方もステアリングを省略している以外,構造は共通です.

車体

車体は本当に適当に作っており,車軸やリンクができたあとに合うように作りました.合うように作ったところ,3Dプリンタの最大印刷長220mmを大きく上回る338mmと化したため,楽しい工作シリーズ 3mmシャフトセットに含まれる3×100mm丸シャフトを突っ込めるようにし強度の確保を試みました.

サスペンション

スプリング

サスペンションのスプリングにはこのバネを使用し,ダンパーは存在しません.モノタロウを今回初めて使ったのですが,こういったものを買うのに本当に便利ですね.

リンク

1つの車軸に5本のリンクが存在します. 4本が進行方向前後の力を受け止め,1本が進行方向左右の力の受け止めます.ただし,上下方向には動くようになっており,サスペンションが衝撃を吸収したり,車軸を傾けて地形に追従できるようになっています.

リンクを止めるネジは締め切らず,簡易的なボールジョイントのようにしています.

動画も用意しました.

動力

シャフトを50mmにした3速クランクギヤーボックスを使っています.ギヤー比は203.7:1です.所謂ミニ四駆のノーマルモーターですが,パワーやスピードの不足を感じたらミニ四駆よろしくトルクチューンモーターなどに換装するつもりです.

プロペラシャフト

くっついてる
はずした

ギヤーボックスと前後の車軸はこのような長さと向きが変わっても回転できる部品で繋がっており,車軸と車体の相対位置がずれても動力が伝達できるようになっています.

タイヤ

トレッドパターンを適当につけた直径およそ800mm,幅20mmのPLA製のタイヤです.ゴム素材を使っていないため室内ではよく滑りますが,このおかげでディファレンシャルギアを搭載しなくても内輪差が気になりません.

反省点

車体が長過ぎる

上で記したように車体はその他の部品に合わせて何も考えずに作ったため,あまりにも長くなり分割しないと印刷できない以外にも,補強を入れてもたわむ,バランスが悪くてかっこ悪いなどのデメリットが存在します.

車体が振動する

  1. タイヤの回転に負荷がかかる
  2. ギヤーボックスが自らの力でプロペラシャフトの回転と逆の方向に回転をはじめる
  3. ギヤーボックスが固定されている車体とハウジングの間にはスプリングがあるため,ハウジングと車体が一定以上の角度になると,スプリングの力がタイヤにかかっている負荷を上回る
  4. スプリングの力でハウジングと車体が元の角度に戻る
  5. 1に戻る

以上のような原理で振動しているように思えました.

対策として以下が考えられました.

ステアリングを切ったときの回転の中心がタイヤの中心からずれている

つまりこういうことです.

タイヤを3Dプリントでの造形の容易さを優先して側面を平らにしています.これを維持したままタイヤの中心を回転の中心に重ねようとすると,タイヤの幅が60mmなどになってしまい印刷時間が大変なことになります.また,自在継手はシャフトと取り外しができるように作られているのですが,これを一体化することでAの長さを短くしようと思います.

次期4WD

現在,試作機から得られたノウハウを生かして新しい機体を設計中です.興味が移っていなければ来年度のマイスターでカメラ載せたりするかなと思っていたりいなかったり…

完成しました!!(2023年12月)3Dプリンタでカメラ付き4WDを作った STLファイル配布

製作中のモデル